「世界珍食紀行」山田七絵編
開発途上国の専門家が集うアジア経済研究所の職員たちが世界各国で体験した食をめぐるカルチャーショックをつづったエッセー集。
アジア経済研究所センター長の安倍誠氏が、20年以上が経った今も口にしたときの衝撃を忘れることができないと語るのは韓国の発酵食品「ホンオフェ」。とにかく、強烈な臭さで瞬時のうちに口から鼻にアンモニア臭が充満し噛むことものみ込むこともできない。まもなく舌には強いしびれまで広がってきたという。
ほかにも、獣臭さが脳天を衝き「動物園の味」がしたというインドネシアの「牛の鼻のサテ(串焼き)」(土佐美菜実氏)や、ラオスの「カブトムシの素揚げ」(山田紀彦氏)など、世界35の国と地域の珍味や美味、ゲテモノが並ぶ。食から現地のリアルな暮らしや文化が見えてくる。
(文藝春秋 1078円)