「北海道を味わう」小泉武夫著
北海道の食材や料理を食べ尽くしてきた著者による食エッセー。
北海道の春の味覚は海からやって来るという。産卵のため日本海沿岸に押し寄せるニシンだ。取れたてを刺し身にして、天然のヤマワサビを薬味に食べる。ニシンを刺し身で味わえるのは道民に贈られた春の特権だと、そのうまさを語る。
春の大地の恵みといえば行者ニンニク。おひたしや卵とじのほか、昆布とともに漬け込んだ醤油を調味料として楽しむ方法など、自らが好むさまざまな食べ方を披露。さらに、春の北海道ならではの料理「サクラマスの飯鮓(いずし)」なども紹介。
他にも夏のウニやカスベ(ガンギエイ)、驚くほどの甘さのニンジン、秋のサケやホッケに新米、キノコ、冬のキンキや寒ビラメ、カジカ鍋など。四季それぞれの恵みを味わう。
(中央公論新社 990円)