「残星を抱く」矢樹純著
秋晴れの日、青沼柊子は娘の李緒を連れてドライブに出かけた。展望台でトイレに寄ろうとしたとき、黒いワンボックスカーが隣に駐車した。トイレをすませた後、切迫した叫びが聞こえた。下のほうを見ると、後ろ手に縛られた男が横たわっていて、その頭を白いVネックを着た男が踏みつけた。
柊子は車に戻り、必死で走ったが、ワンボックスカーに追いつかれ、迷彩服を着た男が柊子の車の前に立ち塞がった。柊子が横をすり抜けて逃げようとしたとき、男が崖下に落ちるのが見えた。
無事に帰宅できたが、刑事をしている夫には話せない。翌日、自宅のポストに「彼を殺したのは誰か」と書かれた脅迫状が……。
20年にわたる因縁を描く戦慄のミステリー。
(祥伝社 1760円)