「青春とシリアルキラー」佐藤友哉著

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 作家の「僕」は38歳。夫婦げんかで傷つき、なんとなく自殺したい気分でいたとき、担当編集者の阿南からメールがきた。4年前に僕が書いていた原稿を、阿南が再就職した出版社から出さないかという。

 それは僕が高校生のときに起きた猟奇殺人事件をネタにしたものだった。犯行は14歳の少年によるもので、僕はオチのひどいミステリーを読んだような気になって事件から「卒業」した。大人になって結婚し、「家庭」にのまれたような気分になっていたとき、阿南に声を掛けられて、あの事件を取材したのだった。阿南は、僕が今幸せでないのなら、続きを書くべきだと言うのだ。

 生きにくいと感じている中年男性のためのメタフィクション。 (集英社 1980円)

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