「出セイカツ記」ワクサカソウヘイ著

公開日: 更新日:

 著者はいつも「不安」に脅かされていた。将来、飢えたり、住む所を失ったりしたら……。

 そんなとき、近所に住む悦子さんが声をかけてくれた「草、食べない?」。悦子さんは野草を摘んで天ぷらにするのが趣味なのだ。「なるほど、草ですか……」

 著者は家も失い、食いつめて河原で草を摘んで食べる自分をいつも想像していた。だが、野草天ぷらを食べて驚いた。おいしい。悦子さんが「お金がなくなっても野草を食べればいいんだもん」と言うのを聞いて自分を縛っていた呪縛が解けた。著者の不安は「まっとうな衣食住」という呪いから生まれているのだ。

「社会の当たり前」をユニークな視点から見直すエッセー。

(河出書房新社 1705円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    一部ファンが現実逃避? 中居正広“別人疑惑”再燃…「本人すでに死亡」と考える人々が現れる

  2. 2

    いまだ雲隠れ中居正広を待つ違約金地獄…スポンサーとTV局からの請求「10億円以上は確実」の衝撃

  3. 3

    フジテレビ社員たちの怒声と悲鳴…港浩一社長“自滅会見”で窮地、大手企業CM差し止め要求相次ぎ現場はパニック

  4. 4

    中居正広は松本人志の合コンに、2003年の時点で行っていた? 気になる千原ジュニアの証言

  5. 5

    フジテレビで常態化していた女子アナ“上納”接待…プロデューサーによるホステス扱いは日常茶飯事

  1. 6

    兵庫県百条委メンバーの前県議が死亡、ついに3人目の犠牲者…斎藤元彦県政「誹謗中傷」放置の罪深さ

  2. 7

    中居正広「女性トラブル」フジは編成幹部の“上納”即否定の初動ミス…新告発、株主激怒の絶体絶命

  3. 8

    中居正広の騒動拡大で木村拓哉ファンから聞こえるホンネ…「キムタクと他の4人、大きな差が付いたねぇ」などの声相次ぐ

  4. 9

    「北朝鮮みたい」…フジテレビの会見を伝える各局のニュースが“静止画”で視聴者ドン引き

  5. 10

    中居正広の女性トラブルで元女優・若林志穂さん怒り再燃!大物ミュージシャン「N」に向けられる《私は一歩も引きません》宣言