(130)水子は恋をする。私も彼が好き
昭和初期に建てられた三階建てのビル。屋上には傾いた鉄塔が載っている。錆びついたみすぼらしい鉄の骨組みだ。綾瀬はその下に立ってみた。ここでエミューと出会った。彼女はあの世とこの世の境から足を踏み出したばかりで固体でありながら気体の性質も備えた未知の羽虫のようだった。鉄塔は風もない…
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