「福音列車」川越宗一著
「福音列車」川越宗一著
佐土原藩主、島津忠寛の三男、啓次郎は、家臣、町田の養子となった。
アメリカに留学したとき、ミハイロフの店で食事をしていると、ステージにいた5人の黒人の男女に、立ち飲みの客が「ひっこめ、黒ん坊」と叫び、店内に罵声が渦巻いた。リーダーの合図で、5人は歌い始める。「ゴスペル・トレイン」だ。歌が終わり、ミハイロフの拍手が静寂を破ると、一斉に歓声が上がった。
心を奪われた啓次郎はリーダーのウィリアムに「ぼくも、入れてくれないか」と頼む。ウィリアムに誘われて日曜に教会に行った啓次郎は、そこで参列者たちを興奮に巻き込む歌を聴いた。
異文化がぶつかる衝撃を描く5編の歴史小説。
(KADOKAWA 2035円)