「乱世を看取った男」吉川永青著
「乱世を看取った男」吉川永青著
10歳の九郎は、山名宗家の現当主である伯父・祐豊の但馬の居城で、兄とともに育った。父の豊定は因幡の守護代を務めており、祐豊は父親代わりでもあった。
室町時代、日本66州のうち11州を占め「六分一殿」とまで呼ばれた山名一族だが、いまや家領は但馬と因幡を残すのみ。永禄3(1560)年正月、兄弟は元服し、兄は豊数、九郎は豊国の名を与えられる。同年、豊定が急逝。因幡の守護代は、祐豊の息子・棟豊に引き継がれる。
しかし、因幡領内で混乱が続く中で、棟豊が毒殺された。新たな守護代として因幡に向かう豊数の供をする豊国の脳裏にある疑念が浮かぶ。
心ならずも裏切りを繰り返し、後世に悪名をとどろかせた戦国武将・山名豊国の波乱に満ちた79年の生涯を描く歴史小説。
(角川春樹事務所 990円)