(16)春翠はまさに妻の残り香
「して、『棋』とやらの正体は何だったのかね」
梅里が香四郎とおみつを交互に見やりながら問う。香四郎がおみつから話すようにと目配せしてきたので、おみつは居住まいを正して口を開いた。
「答えから申し上げると、伽羅でございました。ほんの少しだけでございますが、伽羅のかけら…
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