(1)称賛され、内心は得意の絶頂
「ごめん下さいまし」
おしまはさかえ屋の勝手口の前で声をかけ、引き戸に手をかけた。かまどの前にしゃがんで火吹き竹に息を吹き込んでいた飯炊きの婆さんは、竹から口を離して立ち上がり、奥に呼ばわった。
「仕立の人ですよう!」
すぐに顔馴染みの小僧が小走りにやってき…
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