「首斬りの妻」結城充考著
「首斬りの妻」結城充考著
篠山藩江戸詰右筆、渡部嘉右衛門良政の娘、里久は、小塚原刑場にさらされた亡きがらを見に行った帰りに、堀内道場でともに学ぶ湯長谷藩士、三輪文三郎に出会った。三輪は「源五郎」と名乗り、うつろな顔で罪人を斬ったと告げた。源五郎は咎人の斬首役を務める山田浅右衛門の門下生でもあったのだ。
源五郎と別れた里久は四つ辻で辻斬りに襲われる。頭を打って気を失った里久が運ばれたのは山田家だった。後を追ってきた源五郎に助けられたのだが、里久は源五郎が山田家を継ぐこと、そして源五郎との縁談を父が断ったことを知る。だが、後日、源五郎の剣の腕を見た里久は……。(表題作)
首斬りをなりわいとする武士を描く時代小説。
(光文社 2200円)