「雇足軽 八州御用」辻堂魁著
「雇足軽 八州御用」辻堂魁著
越後宇潟藩浪人の竹本長吉は請人宿の手代にひたすら頭を下げて仕事を紹介してくれるよう頼んでいた。ふた月ほど前に紙屋を紹介してもらったのだが、そこは本業は高利貸で、長吉はその用心棒をさせられていたのだ。
手代は文句を言いながらも、関東取締出役蕪木鉄之助の雇足軽の仕事を紹介してくれた。1日銀1匁で1年契約だ。蕪木の屋敷で鉄之助に尋ねられ、長吉は宇潟藩の藩札乱発による騒動で禄を失ったと打ち明ける。農村回りの役に就いていたことから長吉は雇われることになり、翌年、賭博などの取り締まりに当たるため、下総に向かう。
悪事に立ち向かう関八州取締役の旅を描く時代小説。
(祥伝社 1925円)