「霜月記」砂原浩太朗著
「霜月記」砂原浩太朗著
神山城下で町奉行を務める草壁藤右衛門が突然失踪した。
翌日、草壁家に城から使いが来て、「かねての願い通り、嫡子総次郎の家督およびお役目相続の儀、差し赦すものなり」と伝えた。18歳の総次郎は隠居している祖父の左太夫に相談するが、「そなたが町奉行になるしかあるまいよ」と諭されてやむなく町奉行の任に就く。
ある日、総次郎は影山道場の影山哲斎にある骸(むくろ)の傷口を見てほしいと頼んだ。その骸のかたわらには父の持っている根付けと似たものがあり、骸には草壁家の通う道場の流派と思われる太刀筋が残っていた。「かなりの遣い手であろう」と哲斎はつぶやいた。
代々町奉行を務める武士一家を描く時代小説。
(講談社 1760円)