「最後の甲賀忍者」土橋章宏著
「最後の甲賀忍者」土橋章宏著
甲賀はかつては忍びの里だったが、太平の世になってから甲賀者の多くは忍びをやめて農民となっていた。徳川慶喜が大政奉還し、大きな戦が始まる気配はあるものの、徳川からは何の要請もない。
甲賀で育った了司と金左衛門は鈴鹿峠近くの渓流で釣りをしていたが、熊笹のなかから突然裸の女が飛び出した。2人は伊賀の忍びとみえる男に追いかけられていた女を助ける。了司はその女の目をどこかで見たことがあるような気がした。ほどなく伏見で戦が始まり、長老たちは甲賀の名をあげるため、官軍に忍術を使える者を送ろうとするが……。
動乱期を生き抜こうとする甲賀忍者を描く時代小説。 (角川春樹事務所 1870円)