「ほんとうの自分」ミラン・クンデラ著 西永良成訳
「ほんとうの自分」ミラン・クンデラ著 西永良成訳
シャンタルは、週末、ノルマンディー海岸の小さな町のホテルで一夜を過ごす。一緒に暮らすジャン=マルクとは翌日、このホテルで落ち合うことになっている。ジャン=マルクはシャンタルに強く勧められ、長年、会うのをやめていたリセ(高等学校)時代の親友Fを見舞う。Fは死の床についていた。ホテルで落ち合ったシャンタルは、いつもの彼女ではなかった。その理由を問いただすと彼女は「男たちがもうあたしを振り返ってくれない」ことが悲しいという。
そんなある日、シャンタルは「私はスパイのようにあなたのあとをつけています。あなたは美しい、とっても美しい」とだけ書かれた消印もない手紙を受け取る。
昨年亡くなった著者が、愛し合う男女の心の機微を描いた長編小説。
(集英社 990円)