(89)申し出に南畝は眼をぱちくり
蔦重が南畝に差し出した土産、それは墨痕あざやかな筆致の狂歌だった。
「高き名のひゞきは四方にわき出て赤ら赤らと子どもまで知る」
詠み込まれた四方赤良は、南畝が狂歌で使う狂号、それ自体が戯家の証左。高尚や典雅の極北、わざわざバカを装っている。四方赤良は酒と赤味噌で有…
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