(107)色香立ち昇る「浮気之相」
歌麿は錦絵の試し摺りを前に長考している。
だが、その沈黙は決して重々しいものではない。むしろ、せり上がってくる喜色を堪えるのが大変そうだ。摺師の吐き出した紫煙がゆっくりとたなびく。
「うた、これで文句いわれちゃわしは仕事を変えるぜ」
摺師は歌麿を一瞥してか…
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