(118)面やつれの菊之丞に蔦重は小躍り
ウォーーン。深夜の日本橋界隈、森閑とした町に野良犬の遠吠え。一陣の春風が土埃を舞いあげた。
耕書堂の一室では蔦重と写楽が対峙している。両人とも精魂尽き果て、眼だけがギラつく。
行燈の灯が揺れた。
「写楽さん、傑作だ!」
蔦重が手にしたのは『三代目大…
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