「田沼意次 汚名を着せられた改革者」安藤優一郎著

公開日: 更新日:

「田沼意次 汚名を着せられた改革者」安藤優一郎著

 田沼意次が江戸幕府の老中として幕政を主導した時期は、賄賂が横行し政治が腐敗したというのが定説。

 しかし、実際は田沼は、自由な発想で幕政に臨み、商人の知恵や経済力を活用することでそれまでにない政策を次々と実行。一連の政策で税収は増加し、財政難を克服する兆しも見え始めていたが、そんな幕府の政治スタンスに利権を見いだした商人が裏で暗躍して政治腐敗が進行。

 田沼は対抗する政治勢力によって賄賂政治家のレッテルを貼られ失脚したが、その政策や新規事業は現代にも通じる先駆的なもので、彼は閉塞した社会状況を打破するために悪戦苦闘した改革政治家だったと著者は言う。

 そんな改革政治家としての田沼の功績に着目して、その生涯を振り返る歴史ノンフィクション。 (日経BPマーケティング 990円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高嶋ちさ子「暗号資産広告塔」報道ではがれ始めた”セレブ2世タレント”のメッキ

  2. 2

    大友康平「HOUND DOG」45周年ライブで観客からヤジ! 同い年の仲良しサザン桑田佳祐と比較されがちなワケ

  3. 3

    佐々木朗希の足を引っ張りかねない捕手問題…正妻スミスにはメジャー「ワーストクラス」の数字ずらり

  4. 4

    大阪万博開幕まで2週間、パビリオン未完成で“見切り発車”へ…現場作業員が「絶対間に合わない」と断言

  5. 5

    マイナ保険証「期限切れ」迫る1580万件…不親切な「電子証明書5年更新」で資格無効多発の恐れ

  1. 6

    阪神・西勇輝いよいよ崖っぷち…ベテランの矜持すら見せられず大炎上に藤川監督は強権発動

  2. 7

    歌手・中孝介が銭湯で「やった」こと…不同意性行容疑で現行犯逮捕

  3. 8

    Mrs.GREEN APPLEのアイドル化が止まらない…熱愛報道と俳優業加速で新旧ファンが対立も

  4. 9

    「夢の超特急」計画の裏で住民困惑…愛知県春日井市で田んぼ・池・井戸が突然枯れた!

  5. 10

    早実初等部が慶応幼稚舎に太刀打ちできない「伝統」以外の決定的な差