(123)葛籠を背負う蔦重の声がきこえた
医者は呆れていた。
「これぞ九死に一生を得る、だ」
蔦重は神妙になるどころか、親の叱言を馬耳東風と聞き流す悪たれっ子のよう。
「私は悪運が強いんです」
医者は語調を強めた。
「診立ては江戸患い(脚気)からくる心の臓の衰え」
蔦重は口を尖…
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