【年間ベストセラー】ユーチューバーとしても活躍するホラー作家・雨穴氏が大躍進 ヒットの法則は“没入感”“出社回帰”
出版取次の日本出版販売(日販)は11月29日、この1年間の書籍ベストセラーを発表。同社によるランキングの分析からヒットの法則が見えてくる。
総合部門で1位を獲得したのは、ユーチューバーとしても活躍するホラー作家・雨穴氏によるミステリー小説「変な家2」。シリーズ第1作の「変な家」は5位、「変な絵」も6位に入り、上位を席巻した。同氏の作品は、ドキュメンタリーの形式を模倣しながらも、フィクションの要素を取り入れる“モキュメンタリー”による深い没入感が特徴。単行本フィクション部門で8位にランクインした背筋著「近畿地方のある場所について」も同じ手法を取り入れており、リアリティーの高い作品が読者に求められているようだ。
一方、同社の分析で、ホラーモキュメンタリーの流行と引き合いに出されたのは、総合第3位の宮島未奈氏による青春小説「成瀬は天下を取りにいく」。対照的なように見えるホラーと青春という組み合わせだが、「登場人物への同一化や共感、感情移入という、読者が作品の世界観に没入する点では似ている」と分析された。
もうひとつの今年のトレンドとして注目されたのは、“出社回帰”。単行本実用部門では「キレイはこれでつくれます」「心に効く美容」とタレントのMEGUMI氏の美容本がワンツーフィニッシュを果たし、6位には時短レシピ本の、まるみキッチン著「弁当にも使える やる気1%ごはん作りおき ソッコー常備菜500」がランクイン。人と直接会う機会が増え、在宅している時間が少なくなったアフターコロナの傾向が影響していると言えるだろう。
なんだか、“没入感”と“出社回帰”という2つのトレンドも無関係なものではなさそう……。あなたもランキングを見て、ヒットの法則を考えてみては。