「ヤンキーと地元」打越正行著
「ヤンキーと地元」打越正行著
社会学者の著者は、大学院生だった2007年から、「参与観察」という手法で沖縄の若者と行動を共にして調査してきた。対象は、暴走族や解体屋、性風俗店の経営者、そしてヤミ仕事(違法就労)など、社会の下層で生き延びている若者たちだ。
まずは、レンタルの原付バイクで沖縄の幹線道路ゴーパチ(国道58号)に集う暴走族を追跡。彼らが休憩のために立ち寄ったコンビニで声をかけ話を聞き始めたという。警戒されながらも、次第に信頼を得るようになり彼らと行動を共にするようになる。さらに彼らが昼間働く型枠解体業者の「沖組」で一緒に働く。
本書は、こうして著者自ら身を投じて彼らの世界に飛び込み、彼らの言葉に耳を傾け、その言葉から、彼らが生きる過酷な現実をあぶり出していくリポート。 (筑摩書房 990円)