泉大八「媚女づくり」(実業之日本社・昭和56年5月25日発行から)

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【あらすじ】女盛りのカウンセラー、桃井マリ子先生の主人は海外出張中。そこで精神科医の兄の助言でカウンセリングを始めたら相談事の大半はセックスの悩みばかり。夜をイキイキ過ごしたい中年夫婦、ガールフレンドとうまくいかない男の子、公園でのぞきがやめられないサラリーマン等々。心優しいマリ子先生は手取り足取り治療して、自分も感じちゃったり。著者得意のユーモアエロチカ短編集。

「イヤ。言わないで!」

 陽子サンは、あわてて彼の口をふさごうとしたが、彼は、

「これが黙っていられるかってんだよ。これは、きっとマリ子先生がきてくださって、そばにいてくださるせいだよね。こーんなにヌレヌレのことって、はじめてだよ。オドロキダ!」

 と、うれしそうに声をあげた。

「イヤー!」

 と彼女は、恥ずかしそうに顔をかくしながら、肩で息をしている。

(略)

 と彼は、目をつむって、そっと陽子サンにふれながら、

「マリ子先生って、セクシーで、色っぽいけど、どんな性生活をしてるのかなあ? いまダンナサンが海外出張中で、ダンナサンを思いださせるようなことをいうと申しわけないですけど、マリ子先生は、感度よさそうだから、キッスだけで、すごくセクシーな表情になって、チャーミングだろうね? 高まっていらっしゃると、どのくらいモエモエになって、どのくらい乱れるのかなあ? あるいは、シツレイなことをいってスミマセンけど、唇のカタチとアソコのカタチは似てるっていうから、マリ子先生も高まってくると、陽子のココと同じくらいセクシーになるのかもね? なんて、ざっと、まあ、こんなことを、陽子にタッチしながらささやくわけですね」

(略)

「今夜は、寝ないでハッスルしてね! 女性が2人ですもの」

 と陽子サンが、励ますように言った。

「だいじょうぶ!」

 と彼は、自信ありそうにうなずいて、

「クンニさせてもらっちゃおう! 頭がどうかなりそうなほど感激だなあ!」

 とゴソゴソと下のほうに移った。

 (構成・小石川ワタル)

▽いずみ・だいはち 1928年、鹿児島県出水郡生まれ。旧制第七高等学校造士館(現・鹿児島大学)中退。上京後は電電公社に就職し59年作家デビュー。60年「ブレーメン分会」で芥川賞候補に。68年、電電公社を退職したころから官能小説に転向。70年代にスポーツ紙等で主に“痴漢小説”で人気を集めた。現在91歳。


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