――その夢が72歳でかなった感想は?
「やりたいことはできませんでしたが、人には恵まれているなあと。実は当初、沖縄映画祭に出す短編というお話だったんです。それならばと軽い気持ちで始めたら、プロデューサーから長編でというオファーになって……。魚が食いつきやすいルアーに、私も食いついてしまったといいますか、体力からして不安になったところ、大勢の方が力を貸してくれた。何とか年寄りの冷や水にならずに済んだのも、挫折から再生できたのも、人の縁のおかげ。皆さんに感謝したいし、何度挫折しようと、何歳になろうと、まだ道はあると信じてもらえたら幸いですね」