「ドクターX」プロデューサー「続編、映画化いたしません」
――そもそも「ドクターX」は医療ドラマでありながら、意識したのは組織やサラリーマンだった。
「会社員でも公僕でも、上には『御意』と従わざるを得ないところに、『私、やらない』という女性が入ってきたら面白いねと、脚本家の中園ミホさんと話したのがスタート。それを『いたしません』というセリフに変換したのは中園さんです。そして、主人公の凄腕女医・大門未知子(米倉涼子)にプロとしての矜持を傲慢に吐かせたのが『私、失敗しないので』という決めゼリフだった。でも、ドラマの視聴者が感情移入するのは、白い巨塔の頂点に君臨する蛭間教授(西田敏行)のような人間でも、フリーランスの未知子でもなく、その板ばさみで苦しむ海老名教授のはず。このキャラが愛されたらドラマ自体も愛されると思っていました」
――内山氏も海老名教授の気持ちが分かるという。
「私もテレビ朝日では完全な中間管理職です。下からは突き上げられ、上からは……。日常生活の中でも、御意軍団がいっぱいいるなぁと。私は思うんですけど、どんな大組織にいても一番大事なのは自分の頭で考えること。これはフリーターでも組織人でも同じ。自分で考えて決断する。それがドラマに込めたメッセージです。最終的には海老名教授のような立場の人が報われるといいなと思いながら作りました」
――気になるパート3や映画化は……。
「いたしません(笑い)。でも、私も上から命令されたら「御意」と言わざるを得ないのかも……」