話題の大人向けレーベル「FOXサーチライト」の勝算と期待度
今後に注目である。
■邦高洋低、東宝の独り勝ちに風穴あけるのは…
「邦高洋低」「東宝の独り勝ち」といったキーワードでくくられがちな、ここ数年の映画興行。この正月、ゼロ対決とうたわれた「永遠の0」と「ゼロ・グラビティ」も、東宝の製作・配給の前者が後者の興収を大きく上回った。国産の右傾エンターテインメントが、映画史を塗り替えたハリウッド大作を圧倒したわけである。映画人口自体が頭打ちの中、この種の作品やTVドラマの映画化作品などにしか足を運ばない観客に、いかに他の作品にも興味を持ってもらい、映画という大枠でのリピーターになってもらうかが、いよいよもって課題となってきている。
興行側の現状はといえばかつては個性豊かなプログラムで若い映画ファンを増やす原動力にもなっていたミニシアターの淘汰が進む。資本の再編による系列化などで、劇場の没個性化の一途だ。映画は文化であると同時にビジネスであるわけだが、ビジネスの側面ばかりが強くなっている。
結局は若く才能のある作り手の作品を一本でも多く製作・公開することで、観客が新たな出合いをする機会を増やしていくしかないのではないか。そうした意味で今年の注目と言えるのが、東宝が系列会社で本格化させる、製作費数千万円という中規模作品の展開。井口奈己の「ニシノユキヒコの恋と冒険」、飯塚健の「大人ドロップ」など新進気鋭の監督によるラインアップが並んでいる。