歌手で俳優の中条きよしは売れっ子になる前から「銀座通い」
酒との付き合いは半世紀。ずいぶん長いこと親しんできました。もちろん、いまも飲んでいます。仕事がらみのこともあれば、若い人に誘われて飲むこともあり、いろいろです。酒は強いですよ。おそらく腰を据えて飲んだら、いまでも若い人に負けないんじゃないかな。しかし年相応の飲み方がある。いまは会食のときに飲む程度かな。その場合、少しこだわりがあって、たとえば和食の席だったら日本酒、洋食だったらワインといったふうに酒を楽しんでいます。
酒を覚えたのは19歳のとき。学校を出た後、船乗りになりましてね。日本海航路の貨物船の司厨員です。船員さんたちが夕食を終えると、食堂で一升瓶を傍らに茶碗酒の酒盛りが始まるわけです。
そのとき初めて口にしたんです。酒盛りは毎晩で、最初は「こんなものか」でしたよ。ところが海が荒れだすと、船酔いも手伝って酔いの回りが一気に早くなり気持ちが悪くなる。それからトイレに一目散。出たり入ったりしながら飲んだものです。船乗りをしていたのは3カ月ほどでしたが、船を下りたときはいっぱしの酒飲みになっていました。