歌手で俳優の中条きよしは売れっ子になる前から「銀座通い」
■「必殺シリーズ」からはもっぱら京都
銀座から足が遠のいたのは30代半ばあたりから。「必殺シリーズ」の仕事が入り、京都で過ごすことが多くなったからです。京都ではたまに飲みに出かける程度だったですね。というのは撮影終了がいつも深夜で、行こうと思っても店が開いていない。たまにクラブあたりに飲みに行ってもそれなりの身なりでということになり、それも面倒でした。
でも、お茶屋は、出入りが許されると頭がボサボサでも身なりも気に病むことはない。それで撮影が早く済んだときなどはときどき行っていました。冬などこたつを囲んで舞妓さんとたわいもない世間話をしながら一杯やるわけです。いい息抜きでした。
ぼくはもともと大勢で酒を飲むのは苦手で、酒はやはり気の置けない友人と飲むのがいいですね。音楽関係では中村泰士さんなどがそう。
泰士さんとは20年来の付き合いで、この春、そろそろ新曲をと思って電話を入れたら二つ返事で引き受けてくれた。歌は、もう若くはない男が思いを寄せていた女性と邂逅し、彼女の優しさに触れ心を開いていくという大人の歌で、タイトルは「今 寄り添える」。打ち合わせのとき、泰士さんの行きつけのスナックで一杯やったんですが、話がはずみ久しぶりに午前サマ。楽しかったですね。