きたろうが語る マネジャー募集条件に「酒好き」加えた真意
行くのは下町の大衆酒場。居酒屋じゃないんですよ。やはり「酒場」じゃないとね。袖触り合うも多生の縁ってヤツで、お客さんと一緒にカウンターに座ってね。名物料理に箸をつけながら、ご主人とか女将の歩んできた酒場人生をじっくりと聞くと、味わいが増していくんです。
例えば、この前放送された東京は神田の「尾張家」さん。昭和2年創業の老舗おでん屋で仕切ってるのは2代目女将の長江操さん。23歳で嫁いで以来、先代の背中を見ながら味と雰囲気を継いできたんだけど、77歳になった今もコの字形のカウンターの内側でお客さんのお相手をしてるんです。
タネの吟味は言うに及ばず、創業以来の継ぎ足しの出汁のこと、かつて通ってきた政財界、芸能人のエピソードと聞けば聞くほどに面白かった。それに「ネギマ」っていうと、焼き鳥が一般的だと思いますよね。それが、「尾張家」ではマグロのトロを串にしたおでんネタを言うんです。関西風の薄口出汁がおいしくて、酒が進むこと進むこと。
焼き鳥だと神楽坂の女将が一人で切り盛りしてる「鳥しづ」も良かった。築地なら魚のプロが通う創業60年の「はなふさ」。どの店もホント、おいしくて、楽しいんですよねえ。だから、さすがの飲んべえの俺でも、ロケ前日は禁酒してます。取材を楽しんで、ご主人や女将、お店の良さを伝えたいからです。