<第13回>迫真の演技だったビートたけしの“シャブ中”
高倉健がしゃべれなくなったのは「夜叉」及び「八甲田山」の中で、雪中で凍死した北大路欣也を弔問したシーンのふたつだけである。
あらためて思うのだが、演技はセリフのうまさではないし、体のキレでもない。やはり、役者の気が出ているか出ていないかでまったく違ってくる。しゃべらなくとも高倉健の存在感は際立っている。
▽のじ・つねよし 1957年生まれ。美術展のプロデューサーを経て作家活動へ。「サービスの天才たち」(新潮新書)、「イベリコ豚を買いに」(小学館)など著書多数。最新刊は「アジア古寺巡礼」(静山社)。「高倉健インタヴューズ」(プレジデント社)が話題に。