震災から4年 膨大な記録を貴重な“記憶”としてどう生かすか

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【連載コラム「TV見るべきものは!!」】

 東日本大震災から4年。もう4年なのか、それともまだ4年なのか。その印象は被災地と、それ以外の地域で大きく異なる。特にテレビなどメディアを通じて震災と向き合ってきた人たちの中で、風化が急速に進んでいる。

 今年も3月11日を中心に、いわゆる震災関連番組が何本も流された。何があったのかを忘れないために、また今どうなっているのかを知るためにも必要な取り組みだ。

 先週11日に放送された、NHKスペシャル「“あの日の映像”と生きる」。当時撮影された津波の映像が、それを撮った人、映った人、そして見た人に、どんな影響を及ぼしているのかを伝えていた。たとえば陸前高田市の男性は、カメラを回していた自分が、映っている老人を助けられなかったことを後悔していた。だが、その老人の息子は、父親の生前最期の様子を知ることで、精神的に救われたと語っている。

 また瓦礫と共に流された夫婦は、自分たちが映っている映像を見ることで、“生かされた”意味を考えたという。現在は学校などに出向き、その凄絶な体験を語るボランティア活動を続けている。

 思えば東日本大震災は、メディアだけでなく、住民のデジカメや携帯電話によって膨大な映像が撮影された災害だった。それらを記録として残すだけでなく、貴重な“記憶”として生かしていくことが必要なのだ。
(上智大学教授・碓井広義=メディア論)

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