ヘン声芸人界の新星 コロチキ・ナダルは“間合い”の使い手
栄冠をつかんでからはバラエティー番組への出演も増えているが、そこでもナダルには必殺技がある。その名も「ナダルリバースエボリューション」。どんな単語を言われても、それを進化させて返すことができるというナダルの持ちギャグだ。例えば「千原ジュニア」と言われたら「チェ・ホンマン」、「カンニング竹山」と言われたら「亀井静香」と返す。共演者にお題を振られると、ナダルは少し考えて間を空けてからイイ声で切り返すのだ。
この間合いが彼の持ち味だ。ここで少し期待を持たせてハードルを上げることで鋭い答えでもそうでなくても、どちらに転んでも笑いにつながりやすくなっている。見た目と声の特徴を生かして、うまくいってもハズしても笑えるシステムを構築しているのだ。
相方や芸人仲間は「ナダルは普段から変人」と口を揃えて言う。「やっべぇぞ!」というギャグも持っているナダルだが、実は本人が一番ヤバいと評判だ。これからそのヤバさも少しずつ明かされていくかもしれない。
(お笑い評論家・ラリー遠田)
▽らりー・とおだ 1979年、愛知県名古屋市生まれ。東大文学部卒。テレビ番組制作会社勤務を経てフリーライターに。現在はお笑い評論家として取材、執筆、イベント主催、メディア出演。主な著書に「逆襲する山里亮太」(双葉社)など。