3つの血継いだサラブレッド 尾上右近が自主公演で真骨頂
2回目の今年は「仮名手本忠臣蔵」の五段目と六段目、「船弁慶」。大役・難役で、みな六代目菊五郎の当たり役で、右近はその継承者であることをアピールしたのだ。終演後の挨拶でも、「いつか本興行で」と意欲を表明した。セルフプロデュース力にもたけている。
右近の自主公演では、歌舞伎の伝統と未来が交差する瞬間に立ち会っている感覚を抱いた。歌舞伎では女形が多く、その時は感じなかったが、立役を見て、鶴田浩二の面影も感じた。右近の親戚でもある尾上菊之助は富司純子の息子だし、歌舞伎と任侠映画とは意外と近いのだ。(作家・中川右介)
※尾上右近の今後の公演は、今月24日に「日本フィル&サントリーホール とっておきアフタヌーンVol5『歌舞伎×オーケストラ』」。「第三回研の會」は来年8月27、28日、国立劇場小劇場。