アゴネタで悩んだ辻本茂雄 「カンペーイズムで恩返し」
それから5、6年して「超!よしもと新喜劇」(TBS系)という全国ネットの番組をやるんで東京へ進出しました。いろいろあって番組はうまくいかなかったんですけど、その後、「ルミネtheよしもと」が新宿にできたので、よし、がんばるぞ! と。
ところが、「大阪のニオイがきつすぎる」という理由で出してもらえず、大阪へ帰ったんです。その時も、何カ月か休みました。でも、負けへんぞと立ち上がって舞台とかテレビでもういっぺんがんばってたんです。その時、寛平さんが「あれ、なんで辻本だけルミネに出てへんねん。おかしぃやないか」とおっしゃって「ほんなら2人でコントしょーか」と。
それからネタ何本か作って全国ツアーをして回ったんです。「ルミネ」にも出て、笑ってもらって。寛平さんはアドリブでとんでもないボケをもってくるのでツッコみやすい。寛平さんも「辻本相手やと安心してボケられる」と言ってくれてうれしかったし、すっごく楽しかった。
寛平さんって、とにかくやさしい。ボクだけにじゃなくて、今も売れない芸人使ってコントしたり、劇団立ち上げたりしてますから。ほんまに器が大きい。ボクが新喜劇で若手にチャンスを与えるようにしているのはそうした若手や、まだ売れてない子にチャンスを与える“カンペーイズム”を引き継いでるのかも。そうしながら面白いものを作り続けていくことが寛平さんへの恩返しちがうかなと思てます。