アゴネタで悩んだ辻本茂雄 「カンペーイズムで恩返し」

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 でも、後戻りはできません。どうしたらいいんやろ、何が足らんのやろなぁと考えました。当時は阪南市の実家を出て大阪市内のワンルームに住んでまして、ミナミにあるアメリカ村の古着屋でアルバイトしながら「なんばグランド花月」で新喜劇の舞台を見て勉強しました。毎回、初日、中日、楽日の3回通い、芝居はどういうふうに変化していくんやろう、アドリブはどう生まれていくんやろうと考えながら、自分やったらどうするかというシミュレーションをやりながら見ました。

 そして3カ月が経ったころに声をかけてくださったのが寛平さん。座長として企画された広島横断ツアーである人の代役をボクにやらないかと。聞いたら、主役でツッコミ役。ボクは新喜劇に入る前、コンビ組んで漫才やってたんですけど、ボケ役でしたからね。寛平さんは「大丈夫や。がんばれ」とおっしゃって。舞台を乗り切った後、「こないだ舞台で使ったけど、めっちゃツッコミが面白いぞ」とアチコチで言ってくださった。それがキッカケで「なんばグランド花月」からボクがやりたい主役が初めてきたんですよ。27、28歳のころやと思います。

■「辻本相手やと安心してボケられる」

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