マクドナルドの光と影 「ファウンダー」盛況の3つの理由
いわゆる感動と涙を誘うポジティブな中年の成功物語かと思いきや、さにあらず。利益最優先でフランチャイズ拡大に夢中になるレイは、マクドナルド兄弟を会社から追い出してしまう。しかも非情で姑息。口うるさい人間はカネを握らせて黙らせようとするだけでなく、自分に都合の悪い条件は正式な契約書で明文化せず、口約束でうやむやにする。義理も人情もないドロドロとした裏話も描いているのだ。
■“実業家”トランプ大統領の影響も
なぜ本作がウケるのか。前出の大高氏は「マクドナルドという誰もが知る知名度の高い大企業を描いたのが、ひとつの大きな要因ではないか」とこう続ける。
「描かれた内容は広くは知られていない話で、企業知名度とのギャップも大きかった。しかもサクセスストーリーに終始した起業家の立志伝とは異なり、光と影の両面をしっかりと描き、その功績は『功罪相半ばする』と提示したことで、より多くの観客の関心を呼んだともいえる。世の中はいま、実業家としての手腕をアピールし、大統領にまで上り詰めたトランプ氏の一挙手一投足に注目が集まっている。頂点に上り詰めたモノへの関心が高い時代背景も大きいのでは」
今年の夏興行は例年以上にアダルト向けの作品が弱かったが「ファウンダー」はオトナの嗜好に耐えうる良作のようだ。