内山理名「マチ工場のオンナ」 女社長を“体育会系”で好演
3年前に出版された諏訪貴子「町工場の娘」は、経営者だった父が急逝し、普通の主婦から突然社長になった著者の回想記だ。
この本が原作の「マチ工場のオンナ」では、物語の舞台を東京の大田区から名古屋へと移している。主演はNHK連ドラ初主演となる内山理名(36)だ。
有元光(内山)は父・泰造(舘ひろし)に可愛がられて育った。しかし成長するにつれ、亡くなった兄の代わりに会社を継がせようとする父に反発して、結婚後は距離を置いてきた。それが、まさかの社長就任である。
光は倒産を避けようとリストラを断行し、社内は一気に険悪ムードだ。また銀行からは素人経営者として雑に扱われる。さらに夫の海外赴任が決まるが、自分は同行することができず、幼い息子の気持ちも揺れ動く。
そんな内憂外患だらけの主婦社長を、内山が明るく演じている。悩んだりはするが、最後は自分の意思で決定し、結果も自分で引き受けていく。このドラマでは、内山が持つ“体育会系資質”がうまく生かされている。
すでに原作にもある、工場内の「整理・整頓」大作戦や、若手社員の意見を聞く「悪口会議」なども実施。少しずつだが、会社も光自身も変わり始めた。ずっと父を支えてきた2人の古参社員(竹中直人、柳沢慎吾)の存在感が光る分、会社の経営も主演の内山も、後半戦からが本当の勝負だ。