葵わかな奮闘も NHK朝ドラ「わろてんか」の残念ポイント
10月に始まった「わろてんか」も、間もなく前半戦終了だ。ここまで見てきて、反省していることがある。吉本興業の創業者「吉本せい」の生涯を、ドラマの形で見られるのではないかと期待し過ぎていたことだ。
確かにNHKは放送前から、「せいはモチーフだが、あくまでもフィクション」と強調していた。あらためて、てん(葵わかな)とせいは別人だと思わなくてはならない。
せいは、てんのように京都の老舗薬問屋の「お嬢さん」ではないし、幼少期から「笑い」にこだわってきたわけではない。また夫となる吉本泰三と「運命的な出会い」や「駆け落ち」をしてもいない。2人の共通点は、家業とは無関係な寄席を手に入れた夫を助け、事業の成功を目指したことだ。
主演の葵わかなは、よく頑張っている。ただ残念ながら、てんという女性が物語全体を引っ張るキャラクターとしてはやや弱く、松坂桃李や高橋一生ら男たちのほうにばかり目がいくような印象を受けるのだ。
特にここしばらくは、桂春団治がモデルとおぼしき月の井団吾(波岡一喜)と兄弟子の団真(北村有起哉)、そして間に挟まれた師匠の娘・お夕(中村ゆり)という3人のエピソードが面白く、本筋であるてんや藤吉(松坂)の存在を忘れそうだった。
後半戦では、シナリオでもう少しヒロインを立ててほしいものだ。