歌番組から報道まで…ジャニーズ“独占”から見える日本社会
【緊急寄稿】社会学者・太田省一
「ジャニーズ」と聞いただけで、男性のなかには拒絶反応を起こすひともいるに違いない。私も男性なので、その気持ちが少しはわからないでもない。だがそんな人も、ぜひジャニーズに注目してみてほしい。
いまや世はアイドル全盛だ。女性アイドルではAKBグループがいて、ももいろクローバーZもいる。最近はそこに乃木坂46や欅坂46といった新興勢力も台頭してきた。
ところが、男性アイドルは長年にわたってジャニーズのほぼ独占状態が続いている。テレビを見ても歌番組はおろか報道番組にまでジャニーズのアイドルが出ている。考えてみれば不思議な話である。いったい、なぜなのか。
そのキーパーソンはやはり、ジャニーズ事務所創設者であり、現在もプロデューサー・演出家として辣腕を振るうジャニー喜多川(86)だろう。
アメリカで生まれた彼は、終戦間際の日本で空襲に遭い、九死に一生の体験をした。戦後は米軍に勤務して朝鮮戦争に赴いた。そして帰国後、在日米軍宿舎・ワシントンハイツで少年野球チームを結成し、それが現在のジャニーズのもとになった。1960年代前半のことである。