夏川結衣が明かす“山田組”のお作法「監督の前では無防備」
史枝にとってアイロンがけは日常の家事。慣れた手つきでチャチャッとできるよう衣装部屋に通って特訓したんですが全然ダメで……。『ワイシャツをどこからかけるのか分かっているのかね?』という指摘に加え、新たにせりふを足され、頭が真っ白になることもありました」
監督は演技指導が厳しいことでも有名だが、撮影にはフラットな状態で臨む。
「監督は細やかにそれぞれの芝居やせりふ回しをみて一緒に作っていってくださいます。だから、事前に自分の考えを突き詰めるより、振り幅をもって挑むほうが監督の演出をすうっと吸収できる。山田監督は私を『粗忽な人』とおっしゃいますが、監督の前では無防備なんです」
■敷かれたレール「降りたいと思ったことも」
ユニチカ水着キャンペーンモデルを経て女優の道へ。20代の頃は「敷かれたレールに乗らされていた」と振り返る。
「振り落とされそうになってしがみついたこともあれば、自ら降りたいと思ったこともある。それでもここまで続けられたのは、この世界が魅力的で撮影現場が好きだから。ピンと張り詰めた空気感は何物にも替えがたいです。いい監督、いい作品、いいスタッフと出会えると自分の世界がふわっと広がる瞬間を感じられる。本当に出会う方々に恵まれていると思います」