追悼・加藤剛さん “大岡裁き”で貫いた人権意識と平和憲法
時代劇ドラマ「大岡越前」で江戸時代の名奉行、大岡忠相になりきり、加藤さんはあまたの“大岡裁き”を下してきた。そうした姿は、実生活でも近いものがあったのかもしれない。芸能リポーターの城下尊之氏はこう言う。
「事実関係と違う記事が出され、迷惑というのであれば、訴えたらいいと私は考えています。私もメディアの側ですが、どこか事実と違い、間違っているところがあれば、謝罪や訂正でお応えするのが当然と思っています。そうしたやりとりの中で、より深く取材相手との関係ができて、より良い記事にもつながっていくこともあるからです。加藤剛さんのことはよく存じ上げず、取材させていただいたこともほとんどないのですが、人権という意識やそれを守ろうという面でも、日本芸能界の先駆けだったのですね」
戦争の悲劇を伝える作品に多く出演した加藤さんはまた「戦争を伝え、憲法を守る。それが俳優としての自分の使命」などと語り、生涯反戦を訴え、安倍首相の狙う憲法9条改憲に反対し続けた。気骨ある俳優であった。