92歳で大往生 女優・菅井きんさんの長寿支えた“肉食生活”
この2年後、10年に自宅で転倒して大腿骨を骨折して以降、女優は事実上引退していた。1996年に夫で映画プロデューサーの佐藤正之氏が亡くなってからは、ひとり娘とその家族の介護を受けながら、特別養護老人ホームと自宅を行き来して生活していたようだ。亡くなる2カ月前までたばこを吸い、肉やうなぎを食べていたというから、最晩年まで意気軒高だったのだろう。
「14年に認知症などと報じられた際はフジテレビ系情報番組『ノンストップ!』に出演し、『腹が立ちました。弱いものいじめだと思って』などと話してこれを真っ向から否定しました。もっぱら車椅子の日々を公開し、『足が丈夫になって、動物園に行けるようになりたい』と週1回、1時間もの足のリハビリに努めていることも明かしていた。女優はもう無理としながらも、ローストビーフを食べていたり、気概のあるところを見せていましたね」(ワイドショーデスク)
素顔は反骨の人だったのかも知れない。
大正最後の1926年、東京の染物問屋に生まれ、演劇を夢見た菅井さん。「女優は美人がなるもんだ」と反対する父親を押し切って、46年東京芸術劇場の研究生に。若いころから老け役が多かったが、これを受け入れて「日本のおばあちゃん」との印象で世間に親しまれた。昭和の名脇役、名女優がまたひとり、この世を去った。