「新NY者」のロケでトラブル 清志郎の寛大さを垣間見た
活動休止直前のRCサクセションにとって、1989年とはどのような年だったのか。
88年にリリースしたアルバム「カバーズ」は、所属レコード会社からの発売中止という波乱で世間を賑わせた。89年11月には、清志郎の覆面バンド「タイマーズ」が、社会の矛盾を突いたアルバムをリリース。89年2月から3月にかけて、清志郎のソロワークとして米国ロサンゼルスで録音された音源はリリースに至らず。RCのスタジオ盤も制作されなかった。異例にも、ニューアルバムのリリースがないまま、ツアーで全国を巡ることに。
清志郎は「レコード会社の都合で、発売中止になってしまうレコードなんて信用できない。ライブをテープレコーダーで録音して、友達にダビングしてくれ」とステージから言い放ち、新曲を披露。もろもろの亀裂が生じ、RC本体が揺らいだ年だったのではないか。
この年のTV出演として、清志郎単独で収録された「新NY者(ニューヨーカー)」(フジテレビ系)が挙げられる。
「『ニューヨークで、清志郎さんが好きなことをしてください』との番組出演オファーでした。ならば、本場のゴスペルを生で聴いてみたいとなり、9月、私はマネジャー兼衣装として収録に同行しました」