木久蔵ラーメンを笑点の皆が「まずい」とネタにしてくれた
立川談志は多くの芸人それぞれに思い出を残した。木久蔵にも談志の思い出がある。
「前座になって間もなく、ある落語会の楽屋で働いていたら、談志師匠が楽屋入りしてきたんです。いきなり挨拶するのは恐れ多いので、楽屋に居た好楽師匠に頼んで、『これが木久蔵兄さんの息子のきくおです』と紹介してもらいました。すると談志師匠、僕の顔をまじまじと見てたったひと言、『可哀想に』だって。そんなこと言われたの、初めてで、これはいいネタになりました」
木久扇がラーメン屋を開いた際、談志が開店祝いに訪れた話は昨日書いたが、木久扇は木久蔵の頃から名入りのラーメンを売っている。1982年に発売した木久蔵ラーメンである。正月初席に親子で出演した浅草演芸ホールで売ったそうだが、10日分が5日で売り切れたとか。その人気の秘密は何か。
「手頃な価格とパッケージ(木久扇自身が描いたイラスト)の面白さでしょうか」
木久扇の絵は、落語家になる前、漫画家の清水崑の書生になって学んだというから本格的だ。日本酒のキャラクターになったカッパの絵で有名な先生である。