ホリプロ<1>稼ぎ頭山口百恵の引退を乗り切った危機管理力
順調な事業にも落とし穴があった。デビューから7年。80年、百恵は友和と結婚・引退する。当時の舞台裏を堀氏からこう聞いた。
「百恵から直接、相談があると言ってきたのは初めて。結婚はおよそ見当がついていましたが、引退はまったく予想もしていなかった。止められる雰囲気もなかった」
稼ぎ頭の引退もホリプロは事前の危機管理力で乗り切った。「スタ誕」にヒントを得て、独自にアイドルを発掘すべく「ホリプロタレントスカウトキャラバン」を百恵が引退する4年前に立ち上げ、すでに順調に稼働していた。「百恵のような看板スターがいるだけで、安心して応募者も増える」という業界の手本にもなった。後にオスカープロも後藤久美子の出現で「国民的美少女コンテスト」を実施するなど他の事務所も追随。公開スカウトブームの先駆けとなった。キャラバンも榊原郁恵を皮切りに何人もの女優・タレントが生まれ、現在活躍中の深田恭子、綾瀬はるか、石原さとみへとつながっている。