病床の堀江しのぶを守るため“天敵”梨元勝にメディア対応依頼
タイムリミットが近づく。
堀江しのぶの死がメディアに伝われば猛烈な取材攻勢が野田と堀江しのぶの両親に向かうだろう。野田は芸能人スキャンダルを追う側のリポーターの梨元勝とは相いれない側にいるのだが、あえて梨元にメディア側の仕切りを頼んだ。
「“今日が限度です”と医師から連絡が入ったとき、おれ、六本木のアマンドに梨元を呼んで頼んだのを覚えているんだ」
野田の思いを察知した梨元勝は、自分だけが知ったアイドルの余命をスクープすることもせず、メディア側の対応を仕切る約束をした。
余命は今日限りと告げられていた。
野田は愛車、中古の真っ赤なスプリンターを駆って東名高速をひた走る。
しのぶ、よくやったよ。
おまえ、えらいよ。
猛スピードで飛ばす。
いくら飛ばしても景色は止まっているかのようだった。名古屋インターを降りて入院先の中京病院に車を滑り込ませた。