焼き肉業界に足かけ7年 元ロッテ藤田宗一さんの第二の人生
ロッテの中継ぎ左腕として2005年の日本一に大いに貢献。06年のWBC日本代表に選出された。本日登場の藤田宗一さん(46)だ。その後、巨人、ソフトバンクで活躍。ソフトバンク時代には通算600試合登板を達成したことでも話題になった。今どうしているのか?
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「いらっしゃいませ。奥へどうぞ」
ビジネスパーソンの街、東京・新橋。SL広場から徒歩2分少々、路地裏の飲食店ビル2階にある焼き肉店「焼肉美酒NIKUZUKI」へ行くと、黒いニットシャツ姿の藤田さんがニコヤカに迎えてくれた。トレードマークのヒゲは健在。体形は、現役時代より少しスリムになった。
「ここは去年の10月に開店しまして、グランドオープンは今年の2月1日。4カ月経ったばかりなんです。店長はロッテの元捕手・池田宇隆が務め、僕は仕入れとかメニュー構成をメインに、調理、接客も担当しています」
コンセプトは“ゴルフと野球を軸に、アスリートとスポーツファンを焼き肉でつなぐ”。野球はわかるが、なぜゴルフ?
「オーナーがゴルフ練習場の女性社長だから(笑い)。それに野球とゴルフの2本立ての方が間口が広いでしょ。女性オーナーならではの感性を取り入れ、“良いとこ取り”を狙ってます」
焼き肉業界は足かけ7年になる。
「12年2月に、投手兼コーチとして独立リーグ・群馬ダイヤモンドペガサスに入団したのですが、開幕前に右足を故障してしまい、それで飲食店経営に目を向けたんです。昼は練習、夜は精肉卸問屋で特訓、そんな日々でした」
そして引退後の13年4月、東京・赤坂に焼き肉店「焼きゅう豚 繁」を開店。ところが……。
「1年くらいずっと赤字でした。素材はいいしタレにも自信があったものの、接客が不慣れでインタビューも苦手。それで取材は全部断り、知名度がなかったんです」
今回の取材の前、あるスポーツライターから「藤田さん、選手時代は凄い人見知りで」と聞いていたが、いやはや……。だが、マイペースでコツコツと常連客を増やし、また、メイン料理を豚から牛に替えて「和牛ホルモン宗一」「肉まつり酒場 宗一」へとリニューアル。黒字化に成功した。
そして昨年、赤坂の店舗を知人に譲って、今は「NIKUZUKI」一本勝負。アイドルを目指す長女も接客を手伝っている。