「やすらぎの刻~道」どうしても気になる石坂浩二の演技
4月に放送を開始した倉本聰脚本「やすらぎの刻~道」が、先週末に100回を迎えた。
「やすらぎの郷」の続きである“現代編”と、菊村栄(石坂浩二)が書いているシナリオ「道」の“脳内ドラマ編”が並行して進んでいる。
戦時中の庶民の苦難を描く「道」はもちろん、現代編もまた刺激的だ。先日は、「やすらぎの郷」に住む往年のスターたちがバラエティー番組に出演した。人気タレントの豊臣家康(木下ほうか)が司会の「お笑い大将」だ。スタジオでは、家康を大将と呼ぶ「たけし軍団」、いや「豊臣軍団」が、桂木怜子(大空眞弓)らの大女優を笑いものにしようとする。怒った高井秀次(藤竜也)たちは無礼な軍団を成敗してしまう。それは視聴率優先のテレビに対する倉本の鉄拳でもあった。
そんな現代編で、どうしても気になることがある。石坂浩二の演技だ。たとえば、人形作家・与勇輝の作品を見て感動するのだが、その表情がオーバーで、見ている側が逆にしらけてしまう。
また自分の生き方に悩むシーンでは、手をバタバタさせたり、頭を抱え込んだり。つまり演技全体が古くさいのだ。他の俳優や女優がクセのあるキャラクターを自然に演じているだけに、何とも浮いた芝居になっている。
主演の大ベテランには言いづらいかもしれないが、ここは演出側の出番ではないだろうか。