今アメリカを一番恥じているのはD・ホフマンかもしれない
「ジョンさ、ヤツとコロナが消え失せたら、一度、ネーティブアメリカンの、インディアン居留地を訪ねてみないか? ワイオミング州とか。先住民シャイアン族の人たちがいたシャイアン市とか……平原に行ってキャンプしたいよ」とけしかけると、「監督、あの州は『平等の州』っていうんだ。映画の『小さな巨人』のダスティン・ホフマンは良かったね」と切り返した。100歳を越えた長老に扮した彼が語る凄まじい人生譚だ。幼い頃に家族を殺され、シャイアン族に連れ去られ、シャイアンとして生き、出会った牧師の嫁が男たらしだったり、怪しい薬売りも出てきたり……。「あれが本当のアメリカ人たちの物語だよ」と言う。
D・ホフマンは本物の現役俳優だ。「卒業」から始まり「真夜中のカーボーイ」でニューヨークのスラム街の野ネズミのようなホームレスを熱演し、「わらの犬」や「大統領の陰謀」と、彼こそ、アメリカ人本来の白人像(本人は東欧ユダヤ系)を見事に体現してきた俳優だ。あのデタラメ男を大統領に担ぎ上げてしまったアメリカを一番恥じているに違いない。