NYの地下鉄で集団カツアゲ? 日本のたばこを差し出すと…
ま、相手にするほどのことでもないだろうと速足でその場を去ろうとするが、2人は俺の横にピッタリ並び、同じ速さでついてくるのであった。もちろんその間、例のまくし立てる英語はペラペラペラペラとBGMのように聞こえていた。で、いい加減、面倒くさくなった俺は突然ダッシュで走り出したのだ。いきなりの俺の行動は2人にしてみると予想外だったのかもしれない……。アッという間に彼らとの距離は遠くなったと思ったのは、実は甘い考えで、彼らは地下道に響き渡るホイッスルを吹き鳴らしたのであった。
「ヤベーな、あいつら仲間いるのか」と不安に襲われ、とにかく右も左もよくわからないニューヨークの地下道を必死に逃げる俺……。
しかし、結果は……あ~無残にも数分後に俺は地下道の壁を背に7、8人のヤンキーの半円に囲まれていたのだった。
「ふー、一巻の終わりか……俺、もしかしてニューヨークで……ヤダヤダヤダ……せめて日本の畳の上がいい」と、小心はなはだしくなっている俺の胸のポケットを指さして、ペラペラペラとさらに声を荒らげたのはリーダーと思われるヤンキーであった。